2015-08-23

お勉強はリビングか子供部屋か? それとも、、、

配置図

子供が小学校に入学すると一年生から毎日の宿題があります。

この宿題をリビング・ダイニングで行うか、子供部屋で行うか間取りを考えるうえで悩まれる方も多いかと思います。

一般的には子供部屋が学習室になっていることが多いです。アニメの「ドラえもん」でも「サザエさん」でも「ちびまる子ちゃん」でも勉強は子供部屋でやるものとされてきました。現代もそうするのが良いのでしょうか?

冒頭の画像は現在制作中の「初期プレゼンテーション」のひとコマです。2階にリビングを持ってきて、子供部屋が1階になる予定です。子供部屋を学習室にしてしまうと、お勉強を見てあげる間は子供部屋に行かないといけませんね。

共働き家庭の場合、とにかく時間がないですから夜にあらゆることを効率的に並行して行わないといけません。子供部屋でお勉強の間他の家事ができなくなるとかなり厳しくなります。

 

家事を考慮すると子供部屋では厳しい

 

そういった背景もあって、リビング・ダイニングでお勉強をさせる親御さんも最近は増えてきたと思います。最近の調査では小学生の7割がリビング・ダイニングでお勉強をしているとのこと。私たちが子供の時には考えられない時代になってきました。

冒頭の「ドラえもん」でも「サザエさん」でも「ちびまる子ちゃん」はすべて専業主婦家庭の家族構成になっています。昔は時間がたっぷりあったんだなと感じますね。

一方でリビング・ダイニングで集中して学習できるでしょうか?食事やくつろぎなど勉強とは正反対のことを行う場所ですのですべてを同じ場所で兼ねるというのは少し無理があります。しかし、家事を考慮すると目が届く範囲でと思ってしまいます。

 

ライフスタイルの変化(親も子供も勉強?)

 

わが家ではテレビを見る時間が昔よりも減ってきました。一方でネットで調べ物をしたり、情報を得たりする時間が増えました。これはスマートデバイスの普及に伴って、手軽に隙間時間で調べ物ができるようになったからだと思いますし、テレビのように一方通行ではなく、その時々で知りたいことが多様化していった時代の変化もあろうかと思います。

そこで、新しい家では2階のリビングに学習室を作ることにしました。親がネットで調べ物をしている横で子供が宿題をするといった「学習のための隔離されたスペース」をつくることで、機能別に効率的なスペースを実現しようと考えました。

2階間取り

このようにダイニングとリビングの間に「学習室」を設けることにしました。学習室といっても壁で区切るのではなく2階の一部が学習室になっていて、自由に出入りができるフリースペース的なイメージです。

あるときは書斎にもなりますし、あるときはネットカフェにもなりますし、もちろん子供の勉強部屋にもなります。収納に本を置いておくと気軽に読むこともできますし、食事後にリビングでくつろぐか、学習室に少し籠るのもその時の気分で自由に行動できるように考えました。

従来にあったセオリー通りの間取りではないので面白いのですが、これで本当に良いものか少し検討をしてみることにしました。

 

2階のイメージを検証

 

 外観2

これは建物北西からのイメージ画像になります。ちょうど道路側から見た場合の外観になります。

2階が採光や眺めに恵まれているので学習室の場所を思い切って真ん中に持ってきました。この場合実際の間取りではどのように感じるのでしょうか?

リビング狭い1

北側の眺めが良いので、学習室が真ん中にあります。その一方でリビングが少し遠いですね。ダイニング側から見た場合どのように見えるかシミュレーションしてみました。

リビング狭い2

ダイニングからリビングに向かって目線を合わしてみました。

赤い矢印が目線の方向になります。

リビング狭い3

ダイニングの位置から人が立った時のシミュレーション画像になります。奥にリビングの椅子が見えます。右手に学習室が見えますね。

リビングまでの通路は廊下になりますが、少し幅を広くして子供がおもちゃを広げて遊べるスペースにできるようにしました。

学習室が特別感があって気に行っています。ネットカフェにならないようにしたいものです。

一方でリビングの解放感がないプランになっています。

 

(追記)最終的に2階の学習室はこのようになりました。
狭い空間を利用できるように工夫しています。

詳しくは、「自宅と設計事務所 完成見学会 その3」にてご覧ください。

 

学習室の位置を変更

 

先ほどのプランですと、リビングの解放感が犠牲になっていますのでもう少し考えてみることにしました。

リビング広い1

中央にリビングを持ってきて、学習室を角に持ってきました。学習室は1坪ですが、先ほどのプランと同じ面積を確保してあります。

将来子供が勉強をする時のスペースがさらに必要になったときのために隣の押入をなくして、学習室を拡張できるように考えてあります。

家族の成長とライフスタイルの変化に合わせて自由に組み替えられるように今のうちからしっかり考えておこうと考えました。

余談ですが、リビングとキッチンの間のスペースは子供の遊び場兼収納スペースとしています。廊下がなくなりリビングとして床面積が使えるようになったので、ダイニングから見たときに開放感があります。

リビング広い2

同じようにダイニングから見てみましょう。

先ほどと同じようにダイニングからリビングに向かって目線を合わしてみました。

赤い矢印が目線の方向になります。

リビング広い3

ダイニングからリビングと学習室が見渡すことができますし、空間の広がり感も十分感じることができると思います。

最初のプランよりも学習室、リビング、ダイニングの関係性が良くなったのではないでしょうか?

 

まとめ

 

リビングエリアにダイニングやキッチンがあるのは一般的ですが、学習室を別途設けるというのは新しい試みだと思います。

読書、パソコン、スマホ、子供の勉強といった活動をするためのちゃんとした場所を作って、リビングとの関係性を成立させることができれば、今の時代に合った間取りになっていくのではと思っています。

外観1

2階の使い方はそれぞれの家族の価値観やライフスタイルによって変わってくると思います。そういった価値観を図面にして計画していくという業務の進め方は設計事務所の得意としていることですので、お気軽に相談いただければと思います。

(追記)最終的に2階の学習室はこのようになりました。
狭い空間を利用できるように工夫しています。

詳しくは、「自宅と設計事務所 完成見学会 その3」にてご覧ください。


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中村まり子

代表取締役/一級建築士まりこ建築デザイン株式会社
一級建築士。浜松市内の建築設計事務所、浜松日建工科専門学校教員を経て、2015年4月に「まりこ建築デザイン株式会社」を設立。充実した人生(Quality of Life)を過ごしてもらえる建物を提案したいという想いで設計業務を行っています。プライベートでは2児の母、趣味はクラリネット演奏。
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